レーシック手術の対策はココから
K首相(当時)が国会答弁において「国立病院や国立大学付属病院などで後発品を積極的に利用するよう厚生労働省など関係省庁から指導を徹底させていく」との考えを表明したからだ。
S厚生労働大臣(当時)も、同年3月15日の参議院予算委員会において「国公立病院も率先して後発品を使ってもらわなければ困る」と、国公立病院での後発品の使用促進に強い期待感を表明、薬剤師の権限を強化して、医師の処方した先発品を患者の同意だけで後発品に切り替える「代替調剤」解禁の可能性も示唆した。
この報告書が契機となって、医薬品業界内では、行政サイドが後発品の使用促進策を打ち出すのではないかという憶測が流れた。
全国に約300あるとされる後発品メーカーは大きな市場拡大を期待し、先発医薬品メーカーも後発品を扱う子会社の設立や後発品事業部の強化を図った。
しかし、この報告書の発表以降、行政サイドは梨の喋、具体的な施策や明確な方向性を打ち出さないまま、後発品ブームは一過性のものとして終息した。
その後、厚労省は具体的な施策として02年4月の調剤・診療報酬改定で後発医薬品使用によるインセンティブの設置、同年6月の国立病院・療養所に対する後発医薬品使用促進の通達など、後発品の使用促進策を打ち出した。
この改定によって、点数表に初めて「後発医薬品」という名前が掲載された。
後発品が含まれていれば2点、調剤薬局側で算定する調剤料にも後発品加算が2点付いたほか、医薬品品質情報提供料として後発品の情報を提供すれば10点加算されることになった。
さらに02年10月には高齢者自己負担の完全定率性の導入、03年4月からはサラリーマンの窓口3割負担が開始され、各医療機関が患者負担の少い後発品の採用を検討する局面が生まれた。
さらに、04年の国立病院・療養所および国立大学の独立行政法人化、疾患別の包括支払であるDPCの導入・拡大は急性期病院での後発品の採用に大きなインパクトを与えた。
特に後者は、入院薬市場に大きな影響を与え、当該病院はコストを意識した医薬品マネジメントを迫られている。
実際、筆者らの先行研究でも、輸液や造影剤の「後発品シフト」が明らかになった。
医療費抑制政策に苦しむ急性期病院にしてみれば背に腹は替えられないというところだろうか。
CT造影剤について後発品を採用した場合の削減可能なコストをラフに試算すると、一施設当たり年間500万円から1000万円の医療費が削減できる。
しかし、入院薬の入院医療費に占めるシェアは21・21%と、外来薬(321・5〜217%)に比べてすこぶる低い。
医薬品市場の主戦場は何と言っても外来部門なのだ。
そこで国は先に述ぺた通り、06年4月「後発医薬品への変更可」という処方菱を導入したが、これが大変な誤算だった。
07年度の後発医薬品の使用状況調査結果(中医協診療報酬改定結果検証部会調査)を見ると、「後発医薬品への変更可」欄に処方医の署名がある処方菱は17・4%、うち実際に薬剤師が変更した割合は8・2%にとどまった。
つまり後発医薬品への切り替えは、処方菱全体の1・4%ときわめて低いのだ。
後発医薬品に切り替えた際の患者への対応状況については、「後発医薬品への変更可」欄に署名がある処方菱を持参した患者のうち、保険薬局から患者にその内容を説明した割合がほぼ5割。
それでも説明を受けた患者は、後発医薬品を希望するという傾向が出ている。
一方、後発医薬品を希望しなかった患者にその理由を尋ねると「患者自己負担額の差額が小さい」(211・7%)、「後発医薬品に対する不安がある」(210・0%)などの回答があった。
また、保険薬局に後発医薬品への変更を進めるための要件を聞いたところ、「薬剤師が患者に十分に説明できるだけの時間や後発医薬品の備蓄コスト増に見合った調剤報酬上の実際、保険薬局の後発医薬品の備蓄状況をみると、品目数は「一品目以上50品目未満」が37・7%、「50品目以上100品目未満」が27・21%、100品目以上200品目未満が13・1%、それ以上が10・5%以上となり、100品目未満が55%を占める。
手狭な保険薬局に薄利の後発品を置くだけの十分なスペースがないというのが現状のようだ。
そこで、08年の診療報酬改定では後発医薬品の在庫管理コストの負担を考慮して、後発医薬品の調剤率が30%以上を満たす場合は、薬局の調剤基本料に4点の加算が付いた。
「評価」を求める回答が50・8%と半数を占め、「後発医薬品メーカーによる情報提供や安定供給体制の確保」(20・8%)、「後発医薬品に対する患者の理解」(12・3%)がこれですべてがうまくいくかというと、そう簡単に問屋はおろさない。
後発医療品が医療費削減の救世主となるかどうかは、後発品がどれだけ普及するか(数量)、その価格がどのくらい安くなるか(価格)の2点にかかっている。
まず、の後発品のシェアを高める方策だが、後発品シフトに決定力を持つ医師、薬剤重要な鍵を握るのは医薬情報担当社員MRの人数と質だ。
ところが現実は、医薬協39社のMRの総数2537人で、300人以上が2社、100人以上300人未満が5社、100人未満が221社もある。
先発メーカーのMRが5万人を超えることを考えると、「竹槍でB羽を落とす」ようなものだ。
また薬価収載品目数も4864品目(全収載品目の34・4%に相当)のうち、過半数の21社が100品目未満。
日本の後発品メーカーはあまりにも規模が小さすぎる。
日本国内の中堅後発品メーカーの(院内、調剤薬局を含む)、先発品・後発品メーカー、医薬品卸(問屋)、そして患者を一連のステークホルダーと考え、総合的に戦略を練る必要がある。
例えば患者の視点からは、「先生!ジェネリックにできますか」と「言葉に出して言ってみ」ても、医師から「効き目は今ひとつです」と言われればひるんでしまう。
一方、処方菱を出す医師や薬を調剤する薬剤師にとっては、品質の同等性や副作用情報が不可欠K薬品工業(大阪市)を買収し、医薬品の共同開発や両社の販売網を活かした日米欧での販売促進を強化すると発表した。
今後、後発品メーカーの再編は必至だろう。
薬局側の採用基準のトップを占める「安定供給」に不可欠な流通経路も改革が必要だ。
その内訳を見ると主に卸が12社、主に販社が12社、主に直販が一社、主に委託が7社、その他が5社とバラバラ。
先発品メーカーからのリベートやアローァンスで経営を維持してきた医薬品卸業者にとって、利幅の少ない後発品はうまみが少ない市場なのだ。
他の産業と同様、後発品メーカーによる直販や調剤薬局によるOEM(相手先ブランドによる受託生産)といった流通革命が求められるだろう。
一方、わが国の後発品が決して安くないのも問題である。
わが国の後発品価格は米国の約2倍と9カ国の中で一番高い。
一般に厳しい価格統制が行われている国では後発品のシェアが低いとされる。
事実、わが国と同様に薬価基準制度があり、後発品の価格も公定化されているフランス(39%)、イタリア(30%)の後発品比率は低い。
特に日本では、薬価は常に引き下げられる運命にあるため「改良型新薬」が生まれやすく、後発品市場が成熟しにくい。
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